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日曜日, 6月 24, 2007

角乗り対決

コスプレ勝負は木場の角乗りをしながら行うこととなった。
しかも、木場公園の専用プールではなくて、どぶ川で角乗り。
「どうして、どぶ川で?その前になんで角乗り?」
「こっちの方がスリリングで良いでしょ。落ちたら終わりって感じでさ」
「そうですけど」
「それに、ただの材木じゃない!この材木は廻せば廻るほど川の水を浄化する魔法の材木その名も『きれいにする棒』なんだから」
「更に、川辺から勝負を見守る観客どもに、木場の角乗りキャンディーを販売して一儲け」先輩は妙にイキイキしている。
「っていうか、先輩?勝負の目的忘れていません?」
「それはそれ、必ず勝って、東陽町を解放する。でも、商売は商売よっ」

 対決のルールは、それぞれの代表がコスプレして角乗りを行い、コスプレの評価を競うというもの。
川に落ちたら、その時点で失格。
四名による勝負で、二対二のイーブンの場合は、総得点の多い方が勝ち。

 そして、決戦当日。 
第一試合はイクルミちゃんと菊池姉妹の水着対決。
「そのまんまじゃない」
イクルミちゃんの白いビキニ姿を見て先輩がツッコミを入れる。
「水着ってコスプレなの?」
「レディ、ゴー」
二人とも人とは思えない猛ダッシュだ。
落ちないようにとか、材木を速く回転させることに特化した走り方ではないマジ走りを二人とも行っている。
いきなり盛り上がるお客達。
後ろの側のお客さんには水しぶきが容赦なく降りかかっている。
それでどよめいているのかな?
材木の周囲の水が深緑から、藍色に変わって行く、浄化されているのだ。
勝敗はあっけなかった、イクルミちゃんが泳ぎたかったのを我慢できずに、だって水着だしぃ~?
ドボーンと川へ転落。
一人になっても菊池姉妹は上手に材木を回し続けていた。
まずは、深川の一勝。
「ちょっと~プレッシャーかかるじゃないの」
先輩が非難の声を上げる。
「エヘヘ」と濡れた体を拭きながらイクルミちゃん。
 第二戦は、深川チームは菊池姉妹、こちらからは先輩だ。
「次鋒で良いんですか?」
「十時十分三十秒をお知らせします、ピッピッピピ~~」
「時報だ」
「時報だな」
どうやら大丈夫みたい。いつもの先輩だ。
 どっぽーん。いきなり駄目だった。
「私、運動神経切れてるんだよね」とタオルで拭きながら苦笑いをする先輩。
ちなみにコスプレはバニーガールでした。
いきなりの二連敗に、チーム東陽はもう後がない。
 第三戦は深川チームからは裏切りのみかかが、こっちはみかかのアンドロイドみみかを出場させる。似たもの対決である。
「解ってるよな、もう負けられないんだぞ」先輩がみみかにプレッシャーをかける。
お前が言うな!と思わず突っ込みたくなる。
みかかの様子を伺うに、どうやら自分の存在を脅かすものとの勝負に、動揺している様子。
「キャラがかぶるんだよね~」なんかブツブツ言ってる、怖いよ。
「先輩活を入れましょう」
「よしきたっ」ビターン。
先輩がみみかの頬を張って気合いを入れる。
ビターーン。
私もそれに続いた。
あれ?なんか気持ちいい。
「痛いです」あっごめんね~でも、気合い入ったでしょ。
「はいりましたーっ」
みみかちゃん、暴れないでちょーだい。。
「みみかは、みかかには負けない」
「よしっ行ってこい」
先輩が、川岸に引き寄せられている材木を指さした。
 みみかが着ているのは体操服だ。萌えですかね?
対するザ・オリジナルみかかはメガネにスーツのOLさんルックだ。
「レディ・ゴー」
どっぱーん。
ミニスカートで角乗りは無理がありすぎだろう。
「無様だな」
「ええ、本当にそう」
取り敢えず、敵方が馬鹿でこちらとしては助かった。
「みみかちゃん良くやった!」
「いえ~い」
余裕で角乗りを続けつつ、ピースサイン。
 いよいよ、大将戦。私の出番だ。
敵方はお母さんが、そしてコスプレテーマはセーラー服であった。
「頼むよ哲子、あんたにかかってるんだからねっ」
「もしも私が負けると、どうなってしまうのでしょう」
負けた先輩に対して、どうして卑屈に出るんだ、自分!
「東陽町の独立が果たせないじゃないの!」
「それだけ?」なら、私はー。
「そうだねぇ、追加景品として学校に三年間全裸で登校する権利をプレゼントしてあげる」
「要らないわっ!!もし、貰ってもボディースーツを着て登校しちゃうんだから」
それも、嫌だな。
この勝負絶対に負けられん!
 着慣れたセーラー服にズバッと着替え、姿見で最終チェック。よしっ。
柵を乗り越える。パンツをチラ見させるファンサービスも忘れない。
「おぉー」どよめきが巻き起こる。
えっ嘘!お母さんへの歓声!?
大人の下着に、思わぬ後れをとってしまった。
 柵に掴まりながら、片足ずつ材木に乗り移る。
「準備は良いかな。レディーゴー」
びしゃびしゃびしゃ。
私は、アンドロイドではないので、見た目の派手さよりも、川に落ちない様に、そして、あわよくば相手を落とせるように、足元に意識を集中させ、材木をくるくると回転させる。
よしっ、大体コツは飲み込めたのね。少し余裕がが出来た!
右側のお母さんにチラッと視線をやる。
お母さんそのスカートやっぱ短すぎるよ。
ローファーを護岸に脱いでおき、ルーズソックスに、短いスカート。
元々長い足がミニスカートとルーズによって引き立っている。
ロングヘアーが、左右に整然と揺れ、視線が下半身に偏らない、全身トータルでの魅力を、見るものに振りまいていた。
これはマジヤバイ。シャレにならないって。
そもそも、この対戦は私がお母さんを川に落として、その上深川との総得点勝負で勝利しなくてはいけないのだから。
 私は、危険を冒してでも、勝ちに行かなくてはいけない。。
そこで、慎重な足取りを放棄し、一転!全力疾走を開始する。
「おおっ」どよめく観衆。
そう、これが乳揺れの効果だ!
お母さんもグラマーなのだが、長身が災いして、胸に注目が集まらない。
私は、小柄な上、胸を激しく揺さぶって見せたものだから、これは決まりでしょ。
 本当に決まった。
お母さんが、材木から足を踏み外して川にドボンと落ちたのだ。
何故かって?水を吸ったルーズソックスが重くて、材木の回転に付いてこられなくなったのと、やっぱり年かね。うふふ。
靴を脱いで、材木に上がった時点で
「武蔵破れたり!」ビシッと勝ち名乗りを上げる私。
「あんた小次郎なの?」
「あっ」
 二勝二敗のイーブンで、勝敗は総得点勝負となった。
どきどきどき。やれることはやったけど。本当に勝てるの?
水着勝負でイクルミちゃんが上回り、バニー勝負で引き分け。
ブルマとOLの対決では圧勝し、私のセーラー服勝負でも上回った。
チーム東陽町の勝利であった。
 「負けたわ、哲子。本当に大きくなって」
「あっ」
胸をもみながら敗北宣言する母である。
どう見ても、悔しがってるんだが。

 みかかさんも後ろから近づいてくる。
「う、裏切りものがきたー」そういってはやし立てる先輩。
それを無視して、みかかさんは自分の複製であるみみかの元へと歩み寄り、マジマジと見つめたりつんつんしたりしている。
 二人がにっこりと笑顔を見せた。どうやら今のでわかり合えたようだ。奥が深い。
「データを元に構築した、バーチャル哲子のお母さんと話してみて、解ったんだ。お母さんは、哲子にリベンジがしたいんだ、その為に深川のドンをして居るんだったね」
「そんな」
「それで、私は深川内部に入って、お母さんに納得して負けて貰おうと思ったの。お母さんにとって深川の覇権なんて手段であって目的ではなかったんだからね」
「一言ぐらい言ってくれても」
「敵を欺くにはまず見方からってね。それに……」
「私は解ってたよ?」
「ワタシは信じてたよ?」
「あぁ、ズルイ~。私だけ無駄に悩んで損したんじゃないかぁ」
「まぁ、そう怒りなさんな」
先輩がひっついて、乳をもんでくる。
「お母さん」
「負けたわ哲子ちゃん。でも、哲子ちゃんが現役高校生なら負けても仕方がないわよね。っていうか、現役はコスプレじゃないから、負けたうちに入らないって言うか、私の反則勝ち?」
「なるほど、負けて納得してる」
「ご本人は勝ったつもりみたいだよ。でも、取り敢えず納得はしてるでしょ」
「これで、家族揃ってくらせるな。良かったな哲子」
「うそっ」驚いてお母さんを見る。
すると、
「そうね、お母さん修行の成果で現役高校生の哲子ちゃんと、セーラー服のコスプレでバリバリ張り合っちゃったし、これならまだまだ私の制服も売れるって!!」
呆然とする私の小脇を先輩が小突いた、
「そ、そうだよね~お母さんまだ全然高校生で通用する!」
「きゃーホント!」
やったぁ。ばんざーい。
こうして、ブルマオフは家族三人で、今後はコスプレ衣装のリサイクルも手がけてやっていくことが決定した。オヤジの承諾得てないけど。

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